4.27.2009

「ウォッチメン」原作コミック解説(13) CHAPTER 5

※大変お待たせしました!続きを更新していきます。※

「恐怖の対称形」というサブタイトルの通り、この5話では、全てのコマが(サブタイトルや章末の引用文など、毎話共通の意匠は別として)、折り返しとなるP156-157を中心に対称的に配置されている。
4話に続いて、ムーアが楽しんでいる様子が伺えるが、よく見ると、対応するそれぞれのページに登場するキャラクターまでもが対称的に配置されている。さらには、シーンの切り替わりにおいても、前のシーンの最後のコマと何かしら対称になるような仕掛けが施されているのだ。これだけの"縛り"を自らに課すムーアの苦行僧ぶりには思わず笑ってしまうが、新しい技法を試すのに夢中だったのだろう。

<対称ページ一覧>
P143〜148/170〜165:ロールシャッハ、モーロック
P149/164:ファイン、ボークイン
P150/163:バーナード、バーニィ、車の運転手
P151/162:漂流者
P152/161:ドライバーグ、ローリー
P153/160:コバックス(ロールシャッハ)
P154/159:バーナード、バーニィ
P155〜158:ヴェイト

<対称シーン一覧>
P148〜P149:水はねと血痕。
P149〜P150:三角形と飛沫。ご丁寧に構図まで対称になっている。
P150〜P151:こちらに見えているコミックのページは、P151そのもの。
P151〜P152:"鳥"を食べる漂流者とドライバーグ。
P152〜P153:食べ残しの跡。
P153〜P154:畳まれた紙片を開く手。
P154〜P155:Xの文字(新聞の見出し"NEXT"とカフスボタンの鏡像。ちょっと苦しい…)。
P158〜P159:Vの鏡像が作るXの文字と海賊旗の交差した骨。
P159〜P160:サメ(シャーク)のヒレとコバックス(ロールシャッハ)の手。
P160〜P161:並んだ男女。
P161〜P162:ドライバーグとサメに食われる死体のポーズ。
P162〜P163:漂流者とバーナードのポーズ。
P163〜P164:ジョーイとファインの手つき…というか、要素全て。
P164〜P165:ポスターのドクロとラムランナーのロゴマーク。
P170〜P142:構図とロールシャッハの帽子。